ふるさと納税をする際に、どの額までが最低自己負担額2000円で済ませることができるのかを知ることは非常に重要です。
税金の計算って難しいと敬遠しがちな方にもわかるふるさと納税における限度額、そしてそれらを求める計算方法についてお届けします。
ふるさと納税に限度額を知る必要がある理由
まず基本的なことですが、ふるさと納税を行う際に「限度額」を知る必要がある理由からお話していきましょう。ちなみにここでいう「限度額」というのは、ふるさと納税で自治体に寄付する金額の限度額です。
基本的なことですが、ふるさと納税には必ず自己負担額が発生します。その最低額がふるさと納税の下限額である2000円です。
しかしうまく限度額制度を利用することで例えば6万円寄付をしたとしても、実質的な負担額が2000円だけで済むということも十分あり得るのです。つまり翌年度の住民税の減税と所得税の還付を受けられることから、5万8千円分は手元に戻ってくるという仕組みです。
さらに平成27年度からふるさと納税の限度額が2倍になっているということもあり、この制度を利用しない手はない訳です。
ふるさと納税の限度額を知る下準備
ふるさと納税の限度額は給与などの所得によって変わってきます。その為、まずは限度額を導き出すための下準備から始めていきましょう。
1.給与による所得を確認
まずはあなたがもらっている給与所得から計算していきます。
ここでいう給与所得は毎月の所得だけでなく、以下の物が含まれますので知っておいてください。
・1年間の給与所得(その年の1月〜12月分の合計)・・・A
・1年間の賞与所得(その年の1月〜12月分の合計)・・・B
まずは上記のA+Bで総所得額が分かりますね。その合計額を元に、給与所得控除額をチェックしていきましょう。
・総所得額1,800,000円以下の方
→総所得額×40%もしくは65万円に満たない場合は、一律65万円
・総所得額1,800,000円超〜3,600,000円以下の方
→(所得額×30%)に18万円を加えた額
・総所得額3,600,000円超〜6,600,000円以下の方
→(所得額×20%)に54万円を加えた額
・総所得額6,600,000円超〜10,000,000円以下の方
→(所得額×10%)に120万円を加えた額
・総所得額10,600,000円超〜12,000,000円以下の方
→(所得額×5%)に170万円を加えた額
・総所得額12,000,000円を超える方
→一律230万円
上記に当てはめ、(A+B)-給与所得控除額で純粋な給与所得を求めてください。
2.その他の控除額を確認
次に、上記で求めた給与所得から、その他の各種控除額を引きます。ここで差し引く控除額の例をご紹介します。
・社会保険料控除(1年間の健康保険料+年金保険料合計額)
・基礎控除(所得税の場合38万円/住民税の場合33万円)
・配偶者控除(所得税の場合38万円/住民税の場合33万円)
・配偶者特別控除(所得税の場合3万〜38万円/住民税の場合3万〜33万円)
・一般扶養控除(所得税の場合38万円/住民税の場合33万円)
・特定扶養控除(所得税の場合65万円/住民税の場合45万円)
・老人扶養控除(所得税の場合38万円〜58万円/住民税の場合33万〜45万円)
・生命保険料控除(所得税の場合 最高10万円/住民税の場合 最高7万円)
・地震保険料控除(所得税の場合 最高5万円/住民税の場合 最高2万5千円)
基礎控除はすべての方があてはまる控除ですが、配偶者控除や扶養控除は該当者のみとなります。また控除額は住民税と所得税では異なることも知っておきましょう。
3.所得税率を確認
1.で求めた給与所得から、2.の控除額を差し引いた額が税金の課税対象となる「課税所得」となります。
またその課税所得にかかる所得税率も一律ではありません。課税所得の額によって以下の通り定められています。
・課税所得 195万円以下の方→5%
・課税所得 330万円以下の方→10%
・課税所得 695万円以下の方→20%
・課税所得 900万円以下の方→23%
・課税所得 1,800万円以下の方→33%
・課税所得 4,000万円以下の方→40%
・課税所得 4,000万円以上の方→50%
つまり所得税は以下のように求められるということになりますね。
((A+B)-給与所得控除額-その他の控除額)=課税所得
課税所得×所得税率=所得税
4.住民税の控除を確認
続いて住民税の控除額について見ていきましょう。
こちらは新たな計算を一からする必要はなく、上記で求められた課税所得×10%で求めることができます。
ふるさと納税の限度額を求めよう
では最後にふるさと納税の限度額を求めていくことにしましょう。まず求め方として以下の式をご確認下さい。
(住民税所得控除額×0.2)÷{(90%-所得税率×1.021)÷100}+2000円
例えば課税所得額が180万円で、かつ住民税所得控除額20万円の方の場合に上記に当てはめた限度額を見ていくことにしましょう。
この場合、所得税率はというと課税所得が180万円ですので5%となります。
(20万円×0.2)÷{(90%-5%×1.021)÷100}+2000円
→(4万円)÷(0.86785)+2000円
→48,090円
つまり、実質2000円で済ませるには48,090円までが寄附の限度額ということです。
これらの計算を前もって行うことで、あなたができるふるさと納税の限度額を知り、お得にふるさと納税を行いましょう。ちなみに簡易版であれば、ふるさと納税サイトからシミュレーションを簡単に算出することもできます。